みなさんは放射線を知っていますか?
放射線とは目に見えないエネルギーを持った粒子や波のことで、
医療や農業などさまざまな場面で活用されています。
私たちの生活から切り離すことができない放射線は、
一体どこからやってくるのでしょうか?
放射線キャラクターと一緒に放射線の基礎知識について学んでいきましょう。
放射線のしくみ
放射線のしくみを知るためには
まず「原子」について知る必要があります。
私たちの身の回りのものはすべて「原子」というとても小さい粒からできています。
この原子はさらに小さい「原子核」と呼ばれる粒子のかたまりと、
その周りを回っている「電子」と呼ばれる粒子からできています。
原子核と電子はそれぞれプラスとマイナスの電気を帯びていて、
原子はこのプラスとマイナスの電気がつり合って安定しています。
しかし、原子核のなかには、原子核を形作る粒子の数が多すぎてくずれやすいもの、
大きなエネルギーを持ちすぎて不安定になっているものが存在しています。
放射線は、主にこのような不安定な原子核が安定しようと形を変えるときに発生します。
放射線の種類
放射線には原子から粒子を放出する「粒子放射線」(粒子の仲間)と、
余分なエネルギーを電磁波として放出する「電磁放射線」(光の仲間)の2種類があります。
エックスドクター(X線)
また粒子放射線には放出する粒子の違いによってα線(ヘリウム原子)、
β線(電子)、中性子線(中性子)の3種類があります。
同じように電磁放射線にも原子核のエネルギーが放出されるγ線と、
電子のエネルギーが放出されるX線の2種類があります。
紫外線は放射線ではありませんが放射線に近い性質を持っています。
ビューティーむらさき(紫外線)
放射線の特徴
放射線には大きく2つの特徴があります。
1つ目の特徴は物質を通り抜ける性質です。
放射線はエネルギーを持つとても小さい粒子や波のこと。
そのため、原子から勢いよく飛び出した放射線は
他の物質の原子のすきまを通り抜けることができるのです。
この特徴を「透過」と呼びます。
湯けむりアルファ(α線)
しかし放射線は他の原子にぶつかるたびに減速し、
エネルギーを使い切ると止まってしまいます。
α線は紙一枚、γ線は鉛や鉄の厚い板、中性子線はコンクリートや水に
含まれる水素にぶつかることで透過を防ぐことができます。
2つ目の特徴は物質の電離を引き起こす性質です。「電離」とは、
原子にエネルギーを与えて電子を引き離す現象。
原子同士の結びつきを切り離したり、性質を変化させたりできるので、
がんの治療や農作物の品種改良に活用されています。
チューくん(中性子線)
電磁波(光)の分類
光や電子レンジに使われるマイクロ波、テレビの電波などの正体は
電磁波と呼ばれるエネルギーを持った波です。
また電磁波は波の振動の大きさごとに名前が決まっています。
電磁波には電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線があり、
このうち私たちが直接見ることができるのは可視光線だけです。
ジャガンマちゃん(γ線)