ハイスクール ラジエーションクラス ハイスクール ラジエーションクラス

開催日時
2023年10月29日(日)
13:00~16:30
会場
大阪公立大学 I-siteなんば
C1ホール
発表校
秋田県立秋田高等学校
渋谷教育学園幕張高等学校
國學院大學栃木高等学校
女子学院高等学校
福島県立郡山萌世高等学校
高槻高等学校
大阪市立豊崎中学校
↓

放射線への理解が深まる
高校生対象のイベントを開催!
不思議に溢れた放射線の世界に
踏み込んでみよう!

イベントプログラム

冒頭挨拶

13:00~13:05

「みんなのくらしと放射線」専門部会長(大阪公立大学)
秋吉 優史

研究発表

13:05~15:35

(発表12分 質疑応答5分)

オンライン

秋田県立秋田高等学校
ミュオグラフィによる校舎内構造の把握

藤井 駿さん、渡辺 利玖さん、稲見 颯大さん(藤井 翼先生)

本研究の目的は、構造物の有無や構成する物質の種類による宇宙線が構造物を通過する際の減衰から、小型の宇宙線検出器(CosmicWatch)によるミュオグラフィが可能かどうか検討することです。そのために現在、2台のCosmicWatchを本校物理室に設置し、μ粒子を観測しています。本研究で成果が得られれば、小型で移動性に優れているCosmicWatchでのミュオグラフィが可能になるため、ミュオグラフィや構造物の内部構造の把握についての研究が、さらに発展すると予想しています。

秋田県立秋田高等学校
モンテカルロシミュレーションによる一次宇宙線遮蔽材の検討

金田 康希さん、斎藤 怜さん、佐々木 莉胡さん、佐藤 一進さん(藤井 翼先生)

本研究の目的は、一次宇宙線遮蔽材として使用できる、放射線量の低減に有効な素材を検討することである。現在、宇宙機に用いられているアルミニウム合金は線量低減効果が低い。また、線量低減効果が高いポリエチレンは耐久性が低い。そこで、線量低減効果と耐久性が高いと考えられる水素貯蔵材料について、モンテカルロシミュレーションを使用するソフト(PHITS)を用いて線量の低減を計算する。本研究で成果が認められれば、JAXAによる先行研究の補足として有人ミッションでの安全性を高めることに貢献できる。

オンライン

渋谷教育学園幕張高等学校
Webカメラを用いた放射線の測定と画像解析

内田 彩尊さん はじめ2名(田中 香津生先生)

我々は家庭用Webカメラで放射線の測定、そしてさらに、α線、β線、γ線の定量的な識別を行った。可視光が遮断されるように改造したWebカメラで長時間露光を行い、放射線の測定を可能にした。先行研究で分かった放射線の特徴をもとに、改造したWebカメラによって得られた、線源(152Eu、241Am、90Sr)測定画像を解析しβ線、γ線の識別をした。さらに改造を加えたWebカメラによるモナズ石の測定画像からはα線の軌跡も検出した。そして、最終的に放射線が残した軌跡の円形性、直線性、輝度を用いた放射線の定量的識別をした。

オンライン

國學院大學栃木高等学校
距離と遮蔽の変化と放射能の関係性

田母神 菜乃さん(田中 香津生先生)

本研究では、放射線源からの距離および遮蔽の有無や厚さによって、γ線の放射能がどのように変化するかを明らかにすることと3つのピークの減少率の比較を目的とした。γ線の阻止能が高いCsIシンチレーション検出器を用いてモナズ石を距離とアルミ板の厚さを、0.5cmから2.5cmまで0.5cm間隔および0枚から5枚に変えて測定した。元素同定ではCo60とCs137を用いた。測定データは①ピーク値、②面積計算、③正規分布の3つの方法で分析した。結果として、2次元的グラフでは、特に①で②と③の2次元的グラフと異なる特徴を持つグラフになった。3次元的グラフにおいては、②のグラフが①と③と大きく異なった。これらの理由として、カウント数のみの減り方とピーク全体のカウント数の変化の仕方は異なることや面積計算による分析方法は誤差が大きい可能性があることが考えられた。結論として1つ目は、距離の変化と遮蔽の厚さの変化を同時に行ったときは大方減少傾向のグラフになるが、距離が大きくなるに伴いアルミ板の枚数の変化による放射能への影響が小さくなり、距離が小さい時と比べて減少率が小さいグラフになると考えられる。そして、2つ目は、分析方法により違いが見られたが、3次元的グラフによって放射線の危険範囲を視覚的に示すことができた。今後の展望として、3次元的グラフの放射線から身を守る際の視覚的な指標としての応用を目指したい。

対面

女子学院高等学校
Cosmic Watch を用いた超高エネルギー宇宙線探索

松下 千穂里さん、中井 莉世さん、永田 仁紀さん(田中 香津生先生)

本研究では小型宇宙線検出器Cosmic Watchを用いて大気シャワーを測定し、間接的に超高エネルギー宇宙線を観測することを目指している。現段階では、大気シャワー検出の手法を検討している。予備実験では、2つのCosmic Watchを重ねてコインシデンスしたものを2セット使用し、それらに同時に来たイベントが大気シャワーであると仮定して解析を行った。この実験の結果大気シャワーらしきものは観測されたが、データ数が非常に少ない上、大気シャワーであるという確証は得られなかった。現在は大気シャワーだという確証が得られる新しい実験方法を模索中である。

対面

福島県立郡山萌世高等学校
なんとなくの福島II ~報道の変遷から見る処理水海洋放出の社会的認知~

石川 明日香さん(石井 伸弥先生)

昨年に発表させて頂いた『なんとなくの福島』の"なんとなく"が形成される要因を掘り下げました。その要因の一つにマスメディアの報道があるのではないかと考え、12年間の新聞報道調査を行いました。長期間社会的課題であった福島の汚染水・処理水問題に着目し、「汚染水」「処理水」のキーワードを見出しに用いた新聞記事数の推移を全国紙5紙、地元紙2紙の新聞社別、月別に記録しました。それらの結果とTwitterのツイート数および世論調査の結果を組み合わせたところ、社会的認知の形成と新聞報道の記事数には関係がみられることを明らかにしました。

対面

高槻高等学校
α線最大飛程測定による遮蔽能力の数値化

岸田 和士さん、奥野 裕太さん、長方 龍之介さん、國貞 昂聖さん、瀧井 誠司さん、田中 圭伴さん(鈳 優香先生)

私たちは、α線を遮蔽する遮蔽物の密度とα線の遮蔽される度合いに関係があるのではないかと考え、実験を行った。初めに、R =0.318E 3/2(Rはα線の最大飛程)の式に遮蔽物と空気の密度の倍率をかけることによって遮蔽物内のα線の飛程距離を予測できると仮説をたて、実験によって実際の飛程距離を求め、様々な物質から得られた数値と遮蔽物の密度との関係を調べた。次に、遮蔽物を厚くしていくとだんだん最大飛程が短くなっていくという考察から、遮蔽物を通り抜けた時に消費したエネルギー量と、遮蔽物の密度との関係を調べた。

対面

大阪市立豊崎中学校
身近なカメラを用いたシンチレーション光の観察

佐々木 柚榎さん(田中 香津生先生)

目に見えず、通常、観測には専用の検出器を使用する必要がある放射線を、より身近に感じたいと考えた。そこで、シンチレータ(放射線が入射すると発光する物質)の発光強度・分布を身近なカメラで手軽に捉えようと実験を行った。Webカメラを用いた測定では発光は捉えられなかったが、デジタルカメラを用いた実験でシンチレータの横に放射線源を置いて30秒の長時間露光で撮影したところ、シンチレータが放射線のエネルギーを受け取ることにより発せられた光を捉えることができた。また、シンチレータ内の発光の分布も観測できた。

特別講演

15:35~16:15

講師 名古屋大学アイソトープ総合センター
杉田亮平先生
講演タイトル:「農業と放射線」

放射線は私たちの日常生活や産業において様々な場面で使われています。放射線の身近な利用例として、レントゲン写真や空港での荷物検査を思い浮かべるのではないでしょうか。農業分野においても、放射線は品種改良や害虫防除など多くの場面で活躍しています。放射性物質を追跡することで物質の移動や分布を調べる RI トレーサー実験は、高い定量性と検出感度を強みとする解析手法であり、RI トレーサー実験を用いた研究も農業を支えています。そこで今回は農業分野における放射線の利用例や放射線の可視化による RI トレーサー実験を行った研究例を紹介したいと思います。

講評・表彰

16:15~16:30

「みんなのくらしと放射線」知識普及実行委員長(大阪公立大学)
古田 雅一

過去のイベントの様子

2022年は全国から10校の参加を頂き、大変レベルが高くまた幅の広い研究発表を行っていただきました。

会場

大阪公立大学 I-siteなんば

〒556-0012
大阪市浪速区敷津東2丁目1番41号 南海なんば第1ビル2階・3階

I-siteなんばまでのアクセス

● 南海電鉄「なんば駅(中央出口)」下車、
  南海線東側の道を南へ約800m、徒歩約12分
● 地下鉄御堂筋線「なんば駅(5号出口)」下車、南へ約1,000m、徒歩約15分
● 地下鉄御堂筋線・四つ橋線「大国町駅(1番出口)」下車、東へ約450m、徒歩約7分
● 地下鉄堺筋線「恵美須町駅(1-B出口)」下車、西へ約450m、徒歩約7分
● 南海電鉄高野線「今宮戎駅」下車、北へ420m、徒歩約6分

I-siteなんば施設利用に関する注意事項(PDF)