放射線への理解が深まる
高校生対象のイベントを開催!
不思議に溢れた放射線の世界に
踏み込んでみよう!
イベントプログラム
受付開始
13:00
冒頭挨拶
13:30~13:35
「みんなのくらしと放射線」専門部会長
秋吉 優史(大阪公立大学)
研究発表
13:35~16:30
(発表12分 質疑応答3分)
オンライン発表の部
秋田県立秋田高等学校
CosmicWatchを用いた構造解析
神田 圭、佐々木 汰朗、柴田 裕気、細川 純之介、吉田 洸伸(藤井 翼先生)
構造解析の手法にミュオグラフィがある。ミュオグラフィは宇宙から到来するミューオン粒子を活用し構造解析する技術のことである。しかしミューオン粒子は透過力が高く大型の構造物にしか用いることができないという課題がある。そこで私達は放射線の一つであるγ線を用いて構造を解析することで数cm単位の物体の構造を解析できると考えた。また私達が用いた検出器は従来の検出器よりも安価なため研究の意義が高いと考える。
山形県立酒田東高等学校
ペルチェ冷却式霧箱を用いた放射線の飛跡の自動認識
川上 陽大(山崎 倫孝先生)
本研究では、PythonとOpenCVを用いて、ペルチェ冷却式霧箱内に出現する放射線の飛跡を自動認識するプログラムを製作した。放射線の線源にはランタンのマントルに含まれる232Thを用いた。当初、霧箱内を撮影した動画に背景のノイズが多くあり、画像処理が正確に行われないことが問題であった。そこで、霧箱内を黒色の塗料で塗装し、陰影をはっきりさせ、画像処理を行いやすくした。さらに、モルフォロジー変換の膨張および収縮を利用し、ノイズの影響を抑えつつ、飛跡をある程度自動で認識することが可能となった。
江戸川学園取手高校
陽電子の発生効率の最適化に関するシミュレーション
小野寺 優、國岡 杏奈、中山 和輝(田中 香津生先生)
最終的に霧箱を用いて対生成を観測することを目的として、放射線挙動計算コード(Phits)を用いてシミュレーションを行い、遮蔽板の厚さ、入射する電子のエネルギーなどの条件を様々な値で設定したときの、陽電子の発生数の変化を調べた。そして、陽電子を多く発生させるための板の最適な厚みについて考察した。遮蔽板の素材には比較的入手しやすく、放射線を扱う実験に広く用いられている金属を設定した。
対面発表の部
名古屋大学教育学部附属高等学校
μ粒子の速度測定
淺野 颯良、川道 かのん(田中 香津生先生)
2台の小型μ粒子検出器(CosmicWatch)とシングルボードコンピュータ(RedPitaya)を用いて、2台の検出器間をμ粒子が通るのにかかった時間差からμ粒子の速度を逆算する。具体的には、上下それぞれの検出器でμ粒子を検知したときの波形データから、相互相関関数を用いて時間差を計算する。CosmicWatchのような小型検出器での速度測定の研究は少ない。
女子学院中学校高等学校
2024年5月におけるフォーブッシュ効果の観測について
金野 百合子、小林 美登里、塚本 葉月、牛田 舞羽、倉科 采佳、福崎 菜々香、松永 瑞紗(田中 香津生先生)
本研究では、太陽フレア発生時に宇宙線到来数が減少する現象であるフォーブッシュ効果を、太陽活動が活発であった今年5月に観測した。具体的には、学校に設置したQuarknet検出器4つを使用し、2つずつ重ねた状態でコインシデンスレベルを2に設定して宇宙線を検出した。また、e-labから世界各地のQuarknet検出器のデータを収集し、これらと私達が測定したデータを用いて、大規模な太陽フレアが頻発した今年の5月9日から15日の宇宙線到来数をPythonによって観測地点ごとに求め、比較した。その結果、4%程度の減少が複数回見られた。本研究の結果から、Quarknet検出器のような比較的小型で安価な検出器でもフォーブッシュ効果の観測ができることも併せてわかった。
京都教育大学附属京都小中学校
中学生目線の福島
永井 葵、藤﨑 絢子、長瀬 紗衣、一谷 菊乃、松尾 英奈、河村 奏汰、正分 幸太、三田村 美優、二井谷 陽咲、清田 稟乃(秋月 康平先生)
今年の10月12日から14日にかけて福島県へ研修へ行きました。私達が福島県に行った当時、皆さんとは違い、放射能や原子力に関する知識は少なく、「もう一度学びに行きたい!」そんな思いをもちました。その後、学校に戻り、新たに知ったことや、知っていたつもりだったことが多かったことから学年内交流という形でどんなことを学んだのか、どんなことを感じたか、自分達の考えは、どのように変化していったのか、発表しました。また、各クラスでグループワークを行い、福島県にはどんなイメージがあるか、自分達の発表を聞いて、新しくどんなことを感じたのかをまとめる活動を行いました。それを通して、改めて「福島ってどんなところなんだろう」「これからの日本がしていかなければいけないことはなんだろう」この2つの視点を中学生目線で考えてみました。
京都教育大学附属京都小中学校
どうする?高レベル放射性廃棄物
吉田 朝霧、塚口 七彩子(片山 和政先生)
何かを学ぶときに皆さんは多くの情報を見聞きするだけで満足してしまうのではないか。だが、それだけでは足りない。なぜなら、見聞きした情報はあくまでその情報を発信したメディアの客観でしかないからだ。私達は高レベル放射性廃棄物の処理について対話を通して考えることの重要さを共有したい。対話を使い、見聞きした情報を咀嚼することで客観を主観に作り変える。この形が廃棄物の処理という難しいテーマを考える上で重要になってくると私達は考えている。
フェリス女学院高校
UVレジンによる自作シンチレータの製作と性能評価
橋詰 麻日花(田中 香津生先生)
本研究では、手作りレジンシンチレータ検出器の性能評価をする。放射線計測で盛んに使われるプラスチックシンチレータは、加工が容易である反面、特注で製作する場合製作時間がかかり試行錯誤が困難であるという課題がある。そこで、紫外線で硬化する安価なレジンを用い、光造形3Dプリンタやオリジナルの容器の形状でシンチレータを成形できれば研究効率の向上だけでなくコストの削減につながるのではないかと考えた。先行研究と同じ配合でレジンを溶媒とするシンチレータを合成し、それを用いた検出器を作成した。宇宙線や放射線源の測定データから、プラステックシンチレータの検出器と比較し、この検出器の発光量を評価する。手作りシンチレータの性能を調べ、放射線検出技術に寄与したい。
大阪府立伯太高等学校
微生物に対する身の回りの放射線の影響
杉本 菜都美、木浦 麗愛(中島 邦公先生)
公共施設などに設置されているハンドドライヤーの紫外線や物理実験室あるβ線源やUV蛍光灯の微生物に対する影響を培養法によって調査するとともに、一般的に用いられる抗菌剤や除菌剤の効果とも比較し、報告します。
Kyoto International University Academy
「Developing an easy, safe, and cheap Crookes tube experiment
簡単で安全かつ安価なクルックス管の実験方法(開発中)」
Yu Kweon,Saku Sinivirta,Seitaro Onishi,Keiya Yokotani,Oleavia Li,Jin Kim,Julian Ross(横谷 博先生)
プラズマボールとワイヤーとアルミニウム泊をつかってクルックス管を安全、用意、かつ安価で光らせる方法を試行錯誤しました。2018年にプラズマボールでクルックス管を光らせる方法が紹介されましたが、不安定なので分解が勧められました。私たちは、アルミニウム泊を間に挟んだり、特定の位置に手を置いたりすることで、クルックス管を光らせました。私たちの方法も不安定になることがあり、今はその理由や対策を考えています。試行錯誤するなかで、空間に電場が存在すること、自分自身も導体であることなどをより体験に学ぶことができました。また、一見開回路にみえる状態でクルックス管が光るメカニズムにも思いを寄せることができました。
大阪府立高津高等学校
分割シンチレーターを用いた放射線検出器の放射線種識別に向けたベータ線源を使った実験
久吉 優華、髙橋 みのり、小野 銀也、伊藤 智朗(西本 萌佳先生)
宇宙空間を飛び交う高エネルギーな粒子である宇宙線は大気にぶつかって2次宇宙線となり地上に降り注いでいます。その宇宙線を測るためにcosmicwatchというプラスチックシンチレータを1枚と半導体センサーを使った放射線検出器があります。CosmicWatchは放射線の到来を検出することができますが、どの方向から来たのか、どの種類の粒子が来たのかを区別することはできませんでした。先行研究ではシンチレータを空気層を介して複数枚重ね、それを2つの半導体センサーで挟んだ分割シンチレーターにすることで放射線が来た位置や種類を区別できる仕組みが考案され、素粒子の1種であるミューオンとそれ以外の成分の区別に成功しました。本研究では、この分割シンチレータを用いた、先行研究ではまだ区別ができていないβ線とγ線が区別できるのか、線源を使って測定を行い検証しました。
特別講演
16:40~17:10
講師 追手門学院大学(大阪大学 名誉教授)
上田 良夫先生
講演タイトル:「核融合エネルギーと材料」
近年、世界で核融合エネルギー開発の機運が盛り上がっています。この講演では、核融合エネルギーの概要を述べて、その後、核融合炉で使用する材料の種類と特徴について説明します。最後に、高熱に耐える材料として重要な役割を持っているタングステンについて、その特徴と研究の現状などについてお話ししたいと思います。
核融合エネルギーでは、重水素と三重水素(トリチウム)が融合してエネルギーを発生しますが、その時中性子が発生します。中性子は材料の特性を変化させたり、放射化させたりします。核融合炉では、この放射化の影響ができるだけ少なくなるような元素を選んで、装置を建設する予定です。講演ではこのような中性子の材料影響についてもお話しします。
講評・表彰
17:10~17:20
「みんなのくらしと放射線」知識普及実行委員長
小田 啓二(電子研)
交流会
17:20~18:00
フリーディスカッション(ジュース、お菓子など準備)
過去のイベントの様子
2023年は全国から8校の参加を頂き、大変レベルが高くまた幅の広い研究発表を行っていただきました。
会場
大阪公立大学 中百舌鳥キャンパス C13棟講堂
〒599-8531
大阪府堺市中区学園町1番1号
大阪公立大学 中百舌鳥キャンパスまでのアクセス
なかもず駅からは、バスでお越し頂くのが便利です。
南海中百舌鳥駅南口にあります。
http://www.nankaibus.jp/rosen/noriba/nakamozu.html
中もず駅前バス停 4番乗り場にて、
南海バス31番または32番の北野田駅前行きに乗って7分ほどで「府大研究所前」でお降りください。
(「府立大学前」は中百舌鳥門前となりますので行き過ぎてください。その次になります。)
道路を渡って反対側に東門がございます。入り口に守衛がおりますので、受付をお願いします。